2006年05月13日

音楽性と活動の変遷 【中期】/イエス

イエス単体で見た場合にはライヴ動員数も膨れ上がり、音楽スタイルも自由に追求できた興味深い時期だが、ロック史に於ける重要度という点では軽んじられるのが'73年以降の活動である。それは、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロックというカテゴリー全体が衰退していった時期ともシンクロする。この頃の作品は黄金期のそれと同等に、またはそれ以上に評価する声もあるが、金字塔として不動の評価を得ている「危機」などと違い、ファンの間でも賛否両論がつきまとっているのも事実である。

海洋地形学の物語 - Tales from Topographic Oceans(1973年)」は、'73年の初来日公演中に読んでいたヒンドゥー教僧侶の著書からインスパイアされたアンダーソンが、そのアイデアに賛同したハウと創り上げた叙情詩である。大作指向はエスカレートし、2枚組で全4曲という構成だ。良いメロディが多くちりばめられ、各楽器のソロパートも充実してはいるが、「忍耐を要する」「散漫」という批評もある。

この作品のコンセプトや出来そのものに不満を感じたウェイクマンは、他メンバーとのライフ・スタイルの違いからくるストレスや、自身のソロ活動の成功もあって脱退してしまう。

リレイヤー - Relayer(1974年)」は、「戦争と平和」(トルストイの著書とは無関係)をテーマにアルバム構成を「危機」のスタイルに戻し、非常にテンションの高い演奏を繰り広げている。新たに加わったスイス人キーボーディスト、パトリック・モラーツは、ジャズ、フュージョン、ラテン音楽の要素を多く持ち込み、ウェイクマン在籍時とはかなり趣の異なる音楽性を導き出した。

この時期は'76年まで続く精力的な公演、メンバー全員がソロ・アルバム発表、最初期の音楽性を知らしめるベスト・アルバム「イエスタディズ - Yesterdays(1975年)」発表と、脂の乗った活動を見せた。

モラーツの参加前、映画音楽家としても大成するギリシャ人のヴァンゲリスがウェイクマン後任候補として挙っていたが、英国のアーティスト・ユニオンの問題などで実現しなかった。この時の接触はアンダーソンとのコラボレート「ジョン・アンド・ヴァンゲリス」として、後に実を結ぶ事となる。

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progressive_rock at 02:46コメント(0)トラックバック(0)Yes  この記事をクリップ!

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