マイクオールドフィールド
2007年04月01日
OMMADAWN / MIKE OLDFIELD
Ommadawn
1.PART 1
2.PART 2
1975
一般的にマイクの最高傑作とされるのは、この三作目の「オマドーン」のようである。
前作の「ハージェスト・リッジ」制作に疲労困憊したマイクは、一時入院したという。
20歳の青年が、あれほどの深みと完成度を誇る作品を作ったのだから無理もない。
そこで、リセットされたのか、本作には、熟練と共にリラックスして整理された印象を受ける。
休養時間の客観視が自分の世界に沈みすぎないブイのような働きをしていたのかも知れない。
本作もパーカッション、リード楽器等で数名の参加があるものの、やはり殆どはマイクによる録音。
楽曲の構成は、前作を踏襲した形で大きな変化は無いが、前二作よりも聴きやすく
分かりやすい印象を受ける。
その要因として、まず、彼の音楽の根幹であるケルトとバロックの要素が彼の手中で
完全に混練され、吟味されてマイク・オールドフィールド・ミュージックとでしか呼び様のない個性と明晰さが生まれた上に、ギター以外の楽器へのアレンジも研磨されてカラフルなサウンドになっていること。
そして、打楽器、特にアフリカン・パーカッションの大胆な導入により、力強い
リズムとビートが形成され、楽曲にハッキリとした骨格が生まれ、メロディーが
浮かび上がり、自由化したように感じること等があると思う。
また、前作まで曲の骨格そのものであったベースがリズムの補足として本来的な
使われ方になっているため、曲がシェイプアップしている。
あと、忘れてはならないことは、彼のサウンドの一番の聴きどころであるギターの
オーケストレーションがこの作品で、ほぼ完全な形になっていることである。
<PART 1>
オープニングは、前作と同じように作られているが、メロディーや細部のアレンジ
が説得力を増し、立体的になった印象を受ける。 ガットギターによるメロディー
ラインがとてもよい。
この内省的で美しいイントロは、ゴングの音を境にリズムを伴い、エアリード系を多用した陽光を想わせるサウンドへ変化する。
そして、本作の最大の呼び物、アフリカン・パーカッションが鳴り始めるとサウンドに力強いビートが形成され、不思議なメロディーの歌やマイクのホレボレするような
カッコいいギターソロを更に魅力的なものにしている。
このアフリカン・パーカッションの導入は、マイクの音楽に風穴をあけると同時に
後年開花してゆくワールド・ミュージック的アプローチのスタートにもなっている。
<PART 2>
やや暗く悲しく始まるイントロは、幾重にも重ねられたギターが聴きどころ。
これは、他ではちょっと聴くことの出来ないもの。
やがてチューブラーベルズ(?)が鳴り始めるころ、バックはギターのトリル奏法の群れになっていて、とても神秘的なサウンドになる。
その神秘的なサウンドと交差して長閑なフォルクローレの世界がしばしの安らぎを
与えてくれる。
バグパイプやケーナのメロディーがとても印象的であり、マイクのケルト音楽に対する造詣の深さと、それをここまで意のままに操り、彼独自の新しいサウンドとして成立させるセンスには脱帽する。
クライマックスでは、パーカッションも交えてケルトとバロックがとてもよく馴染んで最高の融合をみせる。
聴けば聴くほどに凄いセンスである。
そして、おまけのミステリアスで牧歌的な「ホースバック」という絶品の小作品が
美味なるデザートを食べたような満足感と幸福感を与えてくれる。
ごちそうさま。
インパクト 100
テクニック 100
ポップ性 100
コンセプト 100
センス 100
COWBELL
Ommadawn
1.PART 1
2.PART 2
1975
一般的にマイクの最高傑作とされるのは、この三作目の「オマドーン」のようである。
前作の「ハージェスト・リッジ」制作に疲労困憊したマイクは、一時入院したという。
20歳の青年が、あれほどの深みと完成度を誇る作品を作ったのだから無理もない。
そこで、リセットされたのか、本作には、熟練と共にリラックスして整理された印象を受ける。
休養時間の客観視が自分の世界に沈みすぎないブイのような働きをしていたのかも知れない。
本作もパーカッション、リード楽器等で数名の参加があるものの、やはり殆どはマイクによる録音。
楽曲の構成は、前作を踏襲した形で大きな変化は無いが、前二作よりも聴きやすく
分かりやすい印象を受ける。
その要因として、まず、彼の音楽の根幹であるケルトとバロックの要素が彼の手中で
完全に混練され、吟味されてマイク・オールドフィールド・ミュージックとでしか呼び様のない個性と明晰さが生まれた上に、ギター以外の楽器へのアレンジも研磨されてカラフルなサウンドになっていること。
そして、打楽器、特にアフリカン・パーカッションの大胆な導入により、力強い
リズムとビートが形成され、楽曲にハッキリとした骨格が生まれ、メロディーが
浮かび上がり、自由化したように感じること等があると思う。
また、前作まで曲の骨格そのものであったベースがリズムの補足として本来的な
使われ方になっているため、曲がシェイプアップしている。
あと、忘れてはならないことは、彼のサウンドの一番の聴きどころであるギターの
オーケストレーションがこの作品で、ほぼ完全な形になっていることである。
<PART 1>
オープニングは、前作と同じように作られているが、メロディーや細部のアレンジ
が説得力を増し、立体的になった印象を受ける。 ガットギターによるメロディー
ラインがとてもよい。
この内省的で美しいイントロは、ゴングの音を境にリズムを伴い、エアリード系を多用した陽光を想わせるサウンドへ変化する。
そして、本作の最大の呼び物、アフリカン・パーカッションが鳴り始めるとサウンドに力強いビートが形成され、不思議なメロディーの歌やマイクのホレボレするような
カッコいいギターソロを更に魅力的なものにしている。
このアフリカン・パーカッションの導入は、マイクの音楽に風穴をあけると同時に
後年開花してゆくワールド・ミュージック的アプローチのスタートにもなっている。
<PART 2>
やや暗く悲しく始まるイントロは、幾重にも重ねられたギターが聴きどころ。
これは、他ではちょっと聴くことの出来ないもの。
やがてチューブラーベルズ(?)が鳴り始めるころ、バックはギターのトリル奏法の群れになっていて、とても神秘的なサウンドになる。
その神秘的なサウンドと交差して長閑なフォルクローレの世界がしばしの安らぎを
与えてくれる。
バグパイプやケーナのメロディーがとても印象的であり、マイクのケルト音楽に対する造詣の深さと、それをここまで意のままに操り、彼独自の新しいサウンドとして成立させるセンスには脱帽する。
クライマックスでは、パーカッションも交えてケルトとバロックがとてもよく馴染んで最高の融合をみせる。
聴けば聴くほどに凄いセンスである。
そして、おまけのミステリアスで牧歌的な「ホースバック」という絶品の小作品が
美味なるデザートを食べたような満足感と幸福感を与えてくれる。
ごちそうさま。
インパクト 100
テクニック 100
ポップ性 100
コンセプト 100
センス 100
COWBELL
Ommadawn