マイク・オールドフィールド
2007年05月27日
EXPOSED / MIKE OLDFIELD
1.INCANTATIONS parts 1&2
2.INCANTATIONS parts 3&4
3.TUBULAR BELLS part1
4.TUBULAR BELLS part2
5.GUILTY
MIKE OLDFIELD GUITAR,
DAVID BEDFORD CONDUCT,etc
PIERRE MOERLEN DRUMS
PEKKA POHJOLA BASS
and so on
1979
“INCANTATIONS”発表の翌年のヨーロッパツアーでの録音。初のライヴ盤で、LP二枚組の作品。
ベッドフォード率いるオーケストラの出来が悪いとか、全くアレンジの違う「チューブラーベルズ」が嫌いだとか、ディスコ・テイストの「ギルティー」が気に入らないなど様々な悪評を耳に(目に)したものですが、僕個人としては、結構楽しめる作品だと思っています。
人々に違和感を感じさせたのは、そのサウンド自体ではなく、実は、外へ向かって開かれたマイクのある種の「陽気さ」、「軽さ」なのではないかと思います。
マイクにとって70年代終わりは、他のアーチストもそうであったように移り変わる音楽産業の体質と風潮が求める価値観の変換に対する新しいアイデンティティーの確立がテーマで、初期3部作のような内省的表現が後退し、スッキリとしたバンド音楽へとシフトしてゆく過渡期であり、ポップな開かれた表現も時代を考えれば十分に納得がいくものであろう。
何しろ時代は、アースウィンド&ファイヤーの時代でもある訳です。マイクなりの時代への正しい反応だったのだと思います。
やはり当時の彼は、ディスコ・サウンドに大きな関心を寄せており、度々ディスコにくり出しておられたようです。その成果として残された「ギルティー」は中々の佳曲です。
それに、オリジナルに比べると、所々ショボいのかな?と思わせる「インカンテイションズ」やファンク・テイストの「チューブラーベルズ」だって決して悪くはありません。「楽しくやろうぜ」的オーラを感じる清々しい作品たちだと思います。マイクのギターだって決して悪くないです。
個人的にもう少し書かせて頂ければ、ゴングのスーパードラマー、ピエール・ムーランとクラッシクからロックまで幅広く活躍するフィンランドの名ベーシスト、ペッカ・ポホヨラのリズム隊の演奏が聴けるのも嬉しいです。
ムーランがドラムスを務めた頃のマイクのバンドの他のライヴも出して欲しいと思うのですが、ちょっと無理かな?
私的な意見ばかりで申し訳ありません。一般的な評価の低さゆえの弁護的なレヴューになってしまいました。
インパクト 70
テクニック 85
ポップ性 80
コンセプト 70
センス 80
COWBELL
Exposed
2007年05月15日
INCANTATIONS / MIKE OLDFIELD
1. PART 1
2. PART 2
3. PART 3
4. PART 4
1978
前作「オマドーン」を発表後、再度入院となったマイクは、しばらくの間、沈黙を守る。
1年1作のペースで驚くべき内容の作品を発表し続けた彼の突然の沈黙に、カムバック
を不安視する声も上がったが、前作より3年、自己の集大成とも言える作品をLP2枚組みというヴォリュームで発表した。
この当時、パンクロックで沸きあがっていたヴァージンレコードがこのような時流にそぐわない大作をリリースしたのを見ても同レーベルのマイクに対する並々ならぬ敬意が窺える。
高い評価を得ていたにもかかわらず、契約を破棄されたヘンリー・カウなどとは大変な違いである。
さて、本作だが、相変わらずマイクが多くの楽器を操り音を紡ぎだすことの延長上にある音には違いないが、ストリングスやパーカッションなど多くの人々が参加しており、1stからアレンジやアドヴァイスで密に関わっていた現代音楽家でケヴィン・エアーズのバンドの仲間であったデヴィッド・ベッドフォードの全面的な協力により、フィリップ・グラスやスティーヴ・ライヒといったミニマル・ミュージックに分類される事の多い現代音楽家の巨人たちにも劣らない、秀逸なミニマル・ミュージックとなっている。
しかし、ロック的観点からは、かなり離れてしまった作品ではある為、ロックのカテゴリーが多様化した現在の方がすんなり受け入れられるのではないかと思う。
本作は、2ndのような痛々しい程の繊細さと過酷さを感じさせる深い情念と思惟の世界とは少し違って、彼の確立した音楽の素晴らしさを伝える力強く美しい圧倒的な音楽である。
マイクの音楽が外へ向かっていったことを感じさせる転換期の作品と僕は捉える。
<PART 1>
圧倒的な音圧で迫ってくるストリング・セクションと、その波間をぬって来るフルートのテーマがとてもスリリング。
ホーン・セクションやマイクのギターとシンセが彩りを添え、コーラスやパーカッションも巧みに配置され、長さを感じさせない実に楽しいアレンジである。
後半で回帰して来るフルートのテーマが圧巻。
<PART 2>
大海原を想わせる映像的でニューエイジ的なイントロで、リズムに遅れそうになるマイクのシンセのフレーズがキュート。
ストリング・セクションのトレモロが先導してゆく美しい展開も、コーラスのアレンジも険しくまたは、快適な航海の様子を描いているようで面白い。
その船はやがて島に漂着し、島民との遭遇を想わせるトライヴァルなビートを持ったとても美しい歌が始まる。
個人的には、透明感溢れる美しい歌とアフリカン・パーカッションとのコントラストが見事なこの部分がマイクの全作品を通して最も好きで、まだ聴いていない方には是非ともお聴きいただきたいお薦めの部分です。
<PART 3>
祭祀を示すようなきらびやかなイントロで始まるこの曲は、マイクのギターがたっぷり堪能できる比較的ロックテイストの強い曲。
中間部から出てくるゴングのピエール・ムーランのドラムも聴きどころ。
<PART 4>
夢の断片のような幽しイントロの後は、様々なアンサンブルで奏でられるテーマのヴァリエイションが怒涛のようにリスナーの耳をなぶる。
「どう?すごいでしょ?」と言わんばかりのアレンジの巧みさと緻密さに圧倒されるのである。
10分半のあたりからせり出してくるとてもカッコいいギターによって全ては纏め上げられ、ミステリアスな印象を残す歌によって幕が下ろされる。これは、PART2での歌のメロディーが回帰してきたもの。
インパクト 70
テクニック 90
ポップ性 60
コンセプト 95
センス 100
(COWBELL)
2007年03月16日
マイク・オールドフィールド/ディスコグラフィー
UK出身のマイク・オールドフィールド(Mike Oldfield)は、デビュー・アルバム『チューブラー・ベルズ』が世界的に有名で知られるプログレッシブロックの雄。
偏屈的・完璧主義者という性格で、音楽スタイルにも表れている。幼少時代は虚弱体質だったらしく、音楽以外のことには自信を持てなかったらしい。ほとんどの楽器の演奏をひとりでこなすマルチ・プレーヤーでもある。
1973年にヴァージン・レコードの記念すべき第一弾アーティストとして、アルバム『チューブラー・ベルズ』でデビュー。いきなり全英1位を記録、このアルバムは現在までにイギリス国内で260万枚を売り上げており、全英歴代トップ30にランクインするほどの大ヒットとなった。また、映画『エクソシスト』のテーマ曲として使用され、一部のフレーズのみではあるが世界的に認知されている。
この成功を受けて、その後も『ハージェスト・リッジ』(全英1位)、『オマドーン』(全英4位)、『ファイブ・マイルズ・アウト』(全英7位)、『クライシス』(全英7位)などのヒット作を立て続けに生み出し、イギリスを代表するアーティストへと上り詰める。また、代表作『チューブラー・ベルズ』のシリーズ作も長年に渡って制作されており、1992年に発表された『チューブラー・ベルズ?』が全英1位を獲得するなど、衰えぬ人気を見せ付けた。
[オリジナル・アルバム]
1973 Tubular Bells
1974 Hergest Ridge
1975 Ommadawn
1978 Incantations
1979 Exposed
1979 Platinum
1980 QE2
1982 Five Miles Out
1983 Crises
1984 Discovery
1987 Islands
1989 Earth Moving
1990 Amarok
1991 Heaven's Open
1992 Tubular Bells II
1994 The Songs of Distant Earth
1996 Voyager
1998 Tubular Bells III
1999 Guitars
1999 The Millennium Bell
2002 Tr3s Lunas aka Tres Lunas
2003 Tubular Bells 2003
2005 Light & Shade
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